Vol.65 はみ出し者の地平線  著:明媚 朋郎

先ずBOOTSTOMP RECORDSの代表からの公式なインフォメーション。
下記のインフォメーションの後に自分の見解を述べています。【THE OPPRESSED来日公演中止のお知らせ】9月20日(日)新宿アンチノックで予定しておりましたジ・オプレスト来日公演は中止となりました。来日公演を楽しみにしていた皆様、ならびに関係者の皆様に大変ご迷惑をお掛けしました事を深くお詫び申し上げます。
今回、公演が中止となった経緯は、アンガーフレアーズが6月28日(日)浜松ジーサイドで開催する「ブートストンプ・ナイト」でアグロナックルと共演する事が原因です。ジ・オプレストのロディー氏からナチ・バンドを支持するなら来日はできないと連絡が入った。ロディー氏は世界的にS.H.A.R.P(シャープ/反ナチ)の親玉としても有名です。
しかし、私がアグロナックルとの交友関係やショーを取りやめる気持ちがない事を伝え今回の公演中止に至りました。
アグ ロナックルは影響を受けたバンドやアプローチは違えど、彼らのサウンドは素晴らしく友人としてはもちろん、バンドとしてもリスペクトしている。
海外の某バンドとスプリットをリリースした事で世界的にアグロナックル=ナチ・バンドと知れ渡ったが、彼らは人種差別はしないし、海外のインタビューでも自らナチ・バンドではないと公言している。
これまで数々の海外アーティストをブッキングしてきた中で同バンドが10年以内に2度も来日中止となった事は初めてで思い入れのあったバンドだけに残念な気持ちでいっぱいです。
以後、ジ・オプレストに関するリリース及びブッキングをブートストンプが行う事はありませんが、この先もジ・オプレストやロディー氏への気持ちは変わりません。
海外から見る と日本のスキンヘッド・シーンは少し特殊かも知れない。もちろん全てではないが、白か黒だけではなくグレーがあるのも日本人の良さだと思ってます。実際、海外での人種差別は社会問題になるほどで、それに比べると日本はまだ認識が甘いのかも知れない。
文化の違いで海外では当たり前の事もこの国では当たり前ではない。日本で生きている以上、日本人としての考え方やスタンスを変えるつもりはありません。それは来日するアーティストに対しても同じです。ただ、反レイシズム、反ファシズムの姿勢も変わりません。
そして、私の友人に人種差別をする人は一人もいません。来日公演が中止になった理由を伝えたかったのは少しでもシーンの事情を知ってもらいたかったからです。個人的にバンド は思想を広めるための手段ではなく、あくまでもパンクロックを貫く生き様である事に今後も変わりはありません。


YUICHI (BOOTSTOMP RECORDS / ANGER FLARES)

この件に対する自分の見解。今回のこのキャンセルに端を発しTWITTER上でBOOTSTOMP RECORDS代表が非難される形になり、議論の余地なく卑劣で下劣な言葉で誹謗中傷に晒されている事に心が痛みます。を通り越して怒りをおぼえます。彼は今回の件で議論することに背を向けていません。しっかりと議論をされている方と、ただスケープゴートの如く吊るしあげられた彼に「みんな石を投げているから自分も投げる」という風潮に卑劣で下劣な言葉の石を仮面をつけた人達が投げているように見受けられます。
2年前まで犬猿の仲だった彼と、何度も話し合い、時にぶつかりあい、意見を交えて友人となり同士となり、良き理解者になった。一緒にツアーを周ってきて彼から差別主義の影がチラついたり、差別的な言動を感じた事は一度もありませんでした。勿論それは現在もです。
それどころかツア ー先での反差別を掲げて活動するバンドや団体に歩み寄ったり 反戦、反暴力に対して真摯に考えていた印象しかありません。
今回のTHE OPPRESSEDの来日公演中止の理由は勿論理解できます。「ナチ・バンドを支持するなら来日はできない」もっともな理由です。認識の甘さを数多く言われていますが、そもそもBOOTSTOMP RECORDS代表の彼は文章でも公言しているようにアグロナックルを差別主義のバンドと見ていません。それは彼が自分で彼等と意見を交わし作品に触れて自分の目と心でそう認識したはずそれだけの事。議論するのであれば、そこで議論するべきじゃないでしょうか。
それをTWITTER上で覆面で顔を覆い卑劣で幼稚な言葉を投石の如く彼に投げつけ心無い下劣な言葉で火を放つ様な人達が居るのは残念で仕方ありません。それでも彼は議論することから背を向けていません。私が幼少期から常に噛みしめてきた差別の味とよく似ています。
本来、罪を背負うのは誰でしょう。責められるべき人は誰でしょう。「お前はパンクじゃない」と自分達周辺と支持者以外は揶揄して吊るし上げて黙殺するレイシスト・パンクが はびこる中で差別を煽動しているバンドも、ナチ・イメージを悪戯に悪用しているバンドも悪戯に敬礼している人達も沢山存在する中で。それらのバンドや団体に媚びて担ぎあげたり、お金が発生する仕事をするような人達は何も責められずニコニコした善人で通っている のが現状では無いでしょうか?今回の様に話が燃え上がっても、沈黙してしまうパンクやスキンヘッドを掲げている人達。自分の意見、スタンスをハッキリと示していくべきじゃないでしょうか?都合がいい時だけの関係ほど人として寂しいものは無いと思うよ。
私はBOOTSTOMP RECORDS代表の雄一君とは大親友で良きライバル。
その関係はこの一件でますます深みを増すと思うわ。支持するもなにも、何も変わらなく俺は彼の味方ですよ。勿論。