Vol.62 はみ出し者の地平線 著:明媚 朋郎
疑問なんだよね。前から。偶に「青春パンクだよね!」って言われるんだけど、良い気はしなかったんだよね。先入観で。だって擦り込まれてきているワケじゃないですか!青春パンク=ダサい。トラディショナルなパンク=カッコイイ、オリジナル=ダサい。模倣=センスが良い。
日本語=熱くるしい。英語=クール。なかった?そんな感覚!もう言っていいと思いますよこの時代ですもの。本当の事。言っちゃいましょうよ。そうしないと完全に終わってしまいますよ。パンクもロックも。本質を受け継がないで様式美ばかりがなぞられていった結果ですから。だからって情熱だけの浅はかな造詣とディティール皆無な「気合い系」も死んどいのは事実。バランス良く行こうじゃありませんかバランスよく!ですから完全に揶揄してやろうと思って、俺に「青春パンク」と言ってきていると解かる口ぶりなんて得意気だよ物凄く。下衆の極みなんだけどね実際。だって自分の意見じゃないんだもの。仲間内、その手の先輩に擦り込まれた意見。
気にもしないんだけどさ。そこで疑問が生れるんだよね。「青春パンク」って言葉は全然嫌いじゃないんだけど、定義って何なんだろうってさ。もちろん俺を揶揄したり真面目に自分自身を歌おうとしている若者を小馬鹿にしたりするような方々は大層としっかりとした定義や持論を御持ちで、パンク、ロックに対する造詣や愛情は俺よりも深く計り知れない筈ですからね。右向け右で当時青春パンクというものを叩きはじめた媒体やライターは正しい知識を持ち合わせ、本来のパンク・ムーヴメントをしっかりとしっかりと理解していらっしゃる方々でしょうから今日のロックやパンクの繁栄が在るのでしょう。あの、一つ言っておきますけど決して「青春パンク」の肩を持つわけじゃないからね。俺知らない し。マジで全然知らないからウィキペディったよ!略してペディった!ウィキペディアによると青春パンク(せいしゅんパンク)とは、パンク・ロックのサウンドをベースに「青春」をモチーフにした歌のジャンルのこと。2000年代前半、中高生を中心にブームを起こした。パンク・ロックバンドのTHE BLUE HEARTSやJUN SKY WALKER(S)、LAUGHIN' NOSE、KENZI & THE TRIPS、COBRAなどに影響を受けたバンドが多い。
恋愛や友情、トラウマ、夢と情熱など若者の個人的なできごとや感情を主にテーマにした詞が特徴。ってことです。パンク・ロックのサウンドをベースにメッセージ色が強く、恋愛、友情、トラウマ、夢、情熱、若者の個人的な出来事や感情がテーマね・・・・・・
時代だったり、閉塞感、孤立感、焦燥感、それぞれの生活に基づいたテーマを歌う・・・・・・
それ、俺の知ってるパンク・ロックじゃねえか?(笑)
THE CLASH "WHITE RIOT"
全ての権力を手中に握るのは
何でも買える金持ちばっか
一方俺たちは、ただ通りを歩くばかりで、
臆病なもんだから、試そうともできないのさ
白い暴動を 暴動を起こすんだ
白い暴動を 俺自身の暴動を
この情熱も感情を歌った言葉も、青春パンクと揶揄されるのでしょうか?
THE CLASH "STAY FREE"
お前に初めて会ったのは、学校だった
誰からも、バカになんかされちゃいなかったよ
俺たちは利口だったから
教師は腰抜け呼ばわりしてたけど
俺たちは楽しんでただけだ
そりゃ教室のみんなには
いつも失望させられたけどな
退学になった時も
別にそれほど驚かなかったし
週末にはバスに乗ってストリータムまで
踊りに出かけたさ
お前はよく笑わせてくれたよ
ケンカもしたけれど
一晩中プールで過ごした事だってあった
メンソール吸いながらさ
俺は毎日、ギターの練習をしてた
お前はクラウンまで、次の計画の準備をしに行ってた
スプレー缶盗んで、関係ない男の頭殴って
二人して捕まったりさ
ブリックストンに住んでた時の事だ
精一杯に曲書いたよ
でも、この世界は苦しいだろう?って
お前がロックバンドを諦めた時
俺たちでこの街を
燃えカスになるまでこき下ろしてやろうって
言ったじゃないか
歳月は過ぎて、何もかも変わっちまったけど
俺は俺の望んだ道を歩いてきたよ
お前が初めて、家を買ったって聞いた時の喜びは
忘れられないさ
お前の微笑だって忘れやしない
お前の進む道は分かってたよ
もし今夜、クラウンで会えるなら
俺に一杯おごってくれよな
気楽に行こう
気分良くさ
自由のままに
この素晴しい曲なんてその最もたるものですよね。
STIFF LITTLE FINGERSの"WAIT AND SEE"だって
GENERATION Xだって歌詞訳してるんだから解かりますよねって意地悪も言いたくなるよ。
UNDERTONESなんて青春パンク過ぎてパンク好きからは総スカン喰らってるんじゃないの?
THE JAMのイン・ザ・シティーとかさ青春過ぎるでしょ!しかもSEX PISTOLSのボディーズってトラウマの曲だよね。青春パンクの定義に引っ掛かる全て歌詞をここに載せていたらキリが無いほど膨大な量だよ。それらの全てが若さや青春、苦悩や葛藤、時代背景をテーマにしているんだけどどう説明してくれるの?BLITZ, COCKNEY REJECTS,SHAM69とか俺の好きな80年代のバンドの歌詞も恋愛は少ないけれど友情、トラウマ、夢、情熱、若者の個人的な出来事や感情を歌っているバンドが多いです。
ではそれらのバンドは青春パンクなんでしょうか?
答えて下さいよレイシスト・パンクス達よ。差別主義のパンクの方々よ。
答えは俺には解かりませんし、俺が勝手に決める事でもカテゴライズする事でもないでしょう
まあ、英語だから良いとか日本語だからダメとか、またその逆もそうなんだけどそんな事言っている時代じゃないでしょうに。そんな価値観は四半世紀前の恥ずべき価値観なんです。これほどまでに情報が溢れ、それぞれの存在の真価が問われる時代。ギミックが評価されなくなってきている時代。俺達にとってはありがたい時代。疑問だったんだけど、青春パンクってパンクってことでいいのかな。逆にさ、青春の入っていないパンクってのも寂しいもんじゃねえか?