Vol.37 はみ出し者の地平線  著:明媚 朋郎

会社の近くに100円ローソンがあるんだけどさ、頻繁に行くわけね。俺みたいな低所得者は。便利なんだよね~結構。最初は敬遠していたんだけどね、え?なんでかって?正直なんかカッコ悪いと思っていたのよ。だってそうでしょ!100円均一で昼飯本気で悩んでたらさ。解かるでしょ?抵抗があったのよ、見栄っ張りの田舎者だからコンプレックスが反動で糞みたいなプライドを作ってしまっていたのよ。ハッキリ言って今はもう何の抵抗もないけどね。100円均一に買い物に行って小一時間悩みぬく事なんて全然ありますから私。話が横道にそれたけど今日は現場からそのまま事務勤務だったので作業着で買い物に行ったんですよ、その例の100円ローソンに。自動ドアの入口から入るや否や変なババア(一見金持ち層に見える)が俺を見た瞬間「プッ!ホホホホホホホ~。ア~ハッハ~。まあ、なんて汚い恰好をしてらっしゃるのアナタ」と来たもんだ!ビックリするわなそりゃあさ。Oi! Oi! ここは東京だぜ?色んな人種がいて色んな出で立ちOKは当たり前じゃないの?いきなり完全無防備の状態でカウンターもらったようなもんだから頭に来ますわなそりゃあ!ホンマにタイミングがタイミングなら手が出るっちゅうの。一瞬目と目が合ったけど、俺急いでいたから相手にせずジュースコーナーに行ったんだけどさ、笑われたババアの事が気になってコッソリ覗いてみたんだ、あのババアのいるエリアを。そしたらあのババア店員捕まえて「これも100円なの?まあ。大丈夫なの?毒でも入っているのかしら」なんて言ってるの。挙句の果てに「下界に下りてきて買い物したかったのホホホ~。」ですってよ!流石に並んでいた大人しそうなOLもイラついている様子。で、そのババアOLの買い物カゴを覗きこんで「300円のお買い上げね。質素ね~それがディナーなの」って言った瞬間「オドレになんでそんな事を言われんといけんのんじゃ!ババアコラ」・・・みんなポカ~ンですよ。大人しそうなOLがいきなりブチギレたんでもの周りはビックリしますよねそりゃあ。その一言でもうババアはビックリして涙目半泣き&唇プルって足ガクガク状態で何も言い返せずに立っているのがやっとの御様子。しかしおとなしそうなOLの怒りはおさまらず口撃は止まらない「どれだけ偉うて金もっとんか知らんけど100均で見栄はって何が言いたいんじゃボケ」「あんたみたいなババアがいっちばん大っきらいなんじゃ!早よいねや!」ですって。地元が近いんでしょうね・・・言葉が汚くていらっしゃる。ババアもよっぽど悔しかったのか「あら怒ったの?貧乏人が生意気ね」と反論するもんだから火に油を注ぐようなもの。レジの前はもう燃え上がる二人のせいで誰ひとり一歩も動けない。「アナタみたいな女性は一生幸せになれないわ、私みたいに幸せに」とババアの言葉に「おめえみてえな汚え心の薄汚え金持ちにならんでも私は充分幸せなんよ悪いけど」と反論。ババアはなんかブツブツ言っていたけどもうOLは完全無視。勝負ありだったのに・・・・・「育ちが悪いのね。親の顔が見たいもんだわ」とババアが言った瞬間にOLさん。ババアの顔面にツバ吐いた。「親や育ちは関係なかろうが。それ以上言うたら手出すよ」ですって。ババアはよっぽどビックリしたんでしょうね。買い物かごを足元に落として安いドラマの傷ついた高齢女性の如く「うううう」とハンカチで顔を押えながら小走りで店から出ていきました。OLは何事もなかったように買い物をしていたけど、よっぽど悔しかったんか興奮したんか店の隅で泣きだしました。俺はハンカチなんて持っていないからタオルを渡そうとしたら同僚の男(彼氏?)らしいヤツが駆け寄って肩を抱いていました。俺はウーロン茶と20円引きで80円のおにぎりを買って仕事に戻りました。意地の悪い奴はほんとにどこにでも居るもんだね。ああいう歳のとり方だけはしたくないもんだと心から思いました。話は変わるけどこの前さ、とあるライブハウスでライブをした時の話なんだけど聞いて欲しいんだ。結論から申しますとそのライブハウスのPAや照明や各スタッフに腹が立って腹が立って終演後思いっきり本音で話をさせてもらったんですよ。立地条件もキャパシティーも設置されている機材も申し分なく素晴らしいライブハウスなんですがスタッフが糞。本当に糞。馴合いのみ。変な癖ついてるんとちゃうか?ガッカリだ。先ず言うておくけどライブハウスのスタッフさんね、俺達演者は全てアナタ達に託すわけですよ。信じて託してるんですよ。何百時間と費やしてきた膨大な練習や努力をたった数十分に集約して本気でステージに上がるわけなんですよ。リハーサルからやる気ない態度とられたり、自分の好みばかり先行した音作りに固執されたり、こちらの要望を上から目線で相手にもしない態度されたりするわけですよ。マイクの本数が足ら ないとか機材的な事はそこにあるもので最善を尽くしていただけるのであればこちらも最善を尽くさせていただきますよ勿論。「いいライブを共に作りましょう」となるけど。そうじゃないんだよ糞なハコは。ガキの使いみたいなんがスタッフとしてステージ脇に居るんですけど本番前、セッティング終わって「そろそろ行きますか~」ってメンバーと士気を高めあっている時に「SE(演奏前の入場曲)ってあるんですか」って聞いてくるんですよ・・・・リハの時SEをPAに渡しているのに。セットリストにSE有りとデカデカとチェックしてるのに。勿論セットリスト、セット表、当日以前に仕込んでる物もあるしリハーサルでチェックしてるはずだし、先ずスタッフはそんなこと当たり前に把握していないとマジで話にならない。幕の上がるタイミングもグダグダで打ち合わせとは全く違う。中音も全然違う。いいんだよ、よくある事さ音に関しては生きもんだから。その時その時どれだけリハで作り込んでも本番は出てきた音で勝負する覚悟は誰にだってある。けどな打ち合わせした事が出来ないのは話にならないのだよ。高いノルマを払うんですよ俺達。今日、その夜の為に沢山の犠牲をはらってやっとたどりついた夜なんですよ。沢山の夢や約束背負って必死なんですよ。解ってんのか!アグラをかいてふんぞり返 ってる糞ラ イブハウスが。お前らも日本の音楽文化を背負っているって意識はあるんか?仲良しクラブごっこやってるんじゃないんですよ。バンドが育たないってよく聞くけどそりゃあそうだよ。ライブハウスが本来の役割を果たしてないから育つわけがない。一緒にライブを作っていくんだって意気込みや情熱が恥ずかしいとか仕事だから仕事らしくと屁理屈ばかりこねるんだったら今すぐ転職しろ。今日は俺達のライブハウスが日本で一番良い音出して良い雰囲気で最高の空間を作っているんだって思ってくれないか?演者はみんなそう思ってるんだよ。またこんな事言ったら敵さんが増えるんだろうけど。まとめて蹴散らしてやるからいつでもかかってこい。アンコールを求めるオーディエンス、スタッフに幕を下ろさな いでくれと伝えてくれた企画者。DJもスピンを待ってくれていた。会場の誰もがその流れになると思ったら幕が突然降りてきた。メンバーがステージに戻ったにもかかわらず。目の前のガキの使いの様なスタッフは内線電話の使い方すら知らず暗闇の中PAや照明に手を振っていたが見えるわけがない。落胆する会場の雰囲気。最悪の終わり方だ。ライブハウスは若いバンドにノルマをかけてどんどん平日ブッキングするのが育てると勘違いされたら困るわ。音を作る為に尽力、努力してますか?慣れ合ってますか?向上心ってまだありますか?この場所が最高!じゃなくてそのバンドそのバンドの出したい音に近づけようと日々勉強してますか?自分の趣味やこだわりが先行して向上心もなく毎回同じ作りになってませんか?演者も頑張ってるようにライブハウスも頑張ってほしいんですよ。そんな事を痛い程に感じた11月でした。