Vol.30 はみ出し者の地平線  著:明媚 朋郎

さて、とうとう我等、ザ・プリズナーの最新アルバム(通算5枚目)【BELIEVE】も発売して全国ツアーに出かけている訳なんですが、各地の仲間や企画者の人達と色々話をすると、ヤッパリな!と思う事が多々あるんですよ。頭に来る事もあれば、「凄いな~」と感心する事もある。自分自身が恥ずかしくなる事もあれば、話によっちゃ調子にのってしまう時だってある。各地でシーンやバンドを守り、続けて行く事は本当に凄い事だ。だからね、ツアー・バンドたるものどんな土地に出向いても先ず其処のシーンに対する敬意、感謝を忘れてはならない。其処でライブが出来て待っていてくれた仲間やオーディエンスと繋がれたのは間違いなく其処のシーンの御蔭だからね。ワシが最近、何処へ行っても思うのが、たいして客も入らんくせにウン十万とかのギャランティー を地方の企画者に被せて、蓋を開けたら集客、スタッフ込みで30人とか・・・・・イヤ・・・・・どうやって払わすんなら?って言うかマジで払わすつもりなんか?イエス!彼等は払わすんですよ!(海外バンドのツアーは例外ね)各地のパトロン的な企画者にディナー・ショウみたいな趣旨のギグを(毎回同じセットを同じ客の前で披露する)ブッキングさせて金をセビリとっている様に映っているのは俺だけなのか?マジでそんなやり方をしていくから各地でロックやパンクのシーンが痩せ細っていくんだよ。誰もやりたがらなくなるに決まっとろうが。おう!年間何十万と支払うギャランティーの為に働いていたら、いくら好きでも、さすがに憧れも、裏返るのはしょうがない。信じていたものに裏切られた感は出るわな。バンドに対する幻滅は当然シーンの 活力を奪っていく。金を渡したら機材車で「プップッ」ってなもんだろう。箱代(ライブハウス貸し切り)で安くみて10万はかかるやろ、大体が週末やもんね。でギャラが20万としたら30万は単純な経費としてかかるわけでしょ? フライアや広告、DJの招集等でもう少しかかるとしても、最低30万。単純にチケット代払って入ってくれたお客さん、多めに数えて20人。チケット高めに設定して¥2500。¥2500 × 20 =¥50000計算すると、どう安く見積もっても25万を地方の企画者が負担するわけだよね。おかしくない?普通に考えて。バンドが企画者に呼ばれたのなら交通費の往復料金を請求するのは普通やわ。そこは呼んだ方がケツ持つのは当然の話だよね。けど客ひとっつも呼べんで、ギャランティーを受け取るときに心が痛まんのんかい!「年に2回ぐらい、俺等の為に金吐けや!そんかわりこの土地では大きい顔でけるで~」そんなんで下りるに下りれんようになってるんなら、言うたれや誰か!よっしゃワシが言うたるわ!目糞鼻糞の1000枚、2000枚レベルの自意識過剰な糞バンドが!どうやったらそういう発想になるんか教えてほしいわ!そんなん呼んで地方の活性化に繋がるだ?本気で言うてんのか?アイツ等みたいな駄バンドふやすだけじゃい!客を呼べんのんならギャラの請求なんてするべきじゃない!それが嫌ならツアーに出るな。出る必要ないやろ。当然、歩合制。客も呼べんようなバンドがギャランティーを請求すな!変な癖がつくど!そもそも売れてもないもんで飯を食おうとするから変になるんじゃい!恥ずかしゅうないんか?何処の土地を回ってもパンパンに入るのなら話は別。そうじゃないでしょう。ワシ、これを言うて干されるんなら、もうそんなとこに居たくもないわ。地方のシーンや若いバンドを舐めんなや。マジ で。客呼べるようになってから、ギャランティーが保障されるようになってからツアーをしなさいよ、そういう考えの所謂大御所のバンドさん達はさ。レコ屋も服屋もな、商品として売っている音楽雑誌もバンドの御蔭で飯食えてるんでしょうが。ワシの愛している土地のシーンを雑に扱ってみいや。許さんど。ワシがどうのこうの言う前に。各地で守ってる奴等は見抜いてるで。値打ちこいてるけど、実はアンタ値札すら付いてないで!「ご自由にどうぞ」の棚じゃ!ワゴンじゃ!ワゴン!ワゴン・パンクじゃい!そんなアホな先輩の立ち振る舞いを見て付いて行っている後輩のバンドも「私等も最低10万もらわないとライブ受けない!」そんな価値観植えつけられてるんちゃうのかい?プロ意識?寝言言う前に練習せんかい!完全に残念賞。500枚自分で売ってみろ!自分達が特別な場所に属しているとでも思ってんのか?残念だが、俺からみるとそこはゴミ捨て場。誰かの下について値打ちこいている暇があったら良い曲を作りなさい。各地に自分達の信じる音楽を作って持って行きなさい。同じ気持ちの仲間達に出会える事を信じてツアーを楽しみなさい出会えた仲間を大切にしなさい。各地に存在するシーンに感謝しなさい。客が入らなかったら悔しがりなさい。間違いなくバンドのせいだと認めなさい。良いライブが出来んかったら悔しがりんさい。それでもやり続けたいんなら覚悟を決めてやり続けなさい。だからね、もしこれを読んでいる、若い歳のバンドやっている人達よ権力者に好かれる様な立ち振る舞いをする必要は無いのだ よ「あの人に嫌われたらこの世界でバンド出来ない」とか絶対にないから世界はもっと広くて、自由で、宝石箱みたいに素敵なんだよ。