新連載!Vol.49
はみ出し者の地平線
著:明媚 朋郎

【アーティスト】THE ERECTiONS
【タイトル】Oi! Oi! REAL NOW
【フォーマット】7"RECORD クリアー盤100枚 黒盤300枚
【レーベル】POGO77
【発売日】:2014年1月11日
【値段】未定
【曲数】4曲

THE ERECTiONS
VOCAL & BASS : KENTARO
VOCAL & GUITAR : NAKACHIN
DRUM & CHRUS : TAKA-44

TAKA-44在籍最後の作品となる音源。

時はミッド~レイト90年代。日本はポゴ(パンク・ロック特有の飛び跳ねるダンスの呼称)の炎に包まれた。日本中に吹き荒れたストリート・パンク・ムーブメントがアンダーグラウンドで勃発した。雑誌もレコード屋も、パンク・ショップもストリート・パンクを大きく取り上げた。行われるギグは大盛況、新しいバンドも次々と生まれ、数多くの作品がリリースされた。世界的なシンクロニシティもあって輸入盤のCD、レコードも充実した季節。海外バンドの来日もN.S.P.M(90年代ストリート・パンク・ムーブメント)ビフォア、アフターで比べ物にならない程に増加した。あれから二十年の月日を経て(2004年~2005年に起こった池袋を中心としたリバイバルも経て)、ブームは沈静化したかに見えたが日本中にばら蒔かれた種は花を咲かせたていたのだ!荒れ果てた荒野に3連モヒカンの綺麗な花を咲かせていたのだよ!孤高の3連モヒカン健太郎は90年代に巻き起こったストリート・パンク・ムーブメントの中心バンド、ディスコックスに心を焦がし憧れてパンクの道に入った。彼はそれまでセックス・ピストルズはおろか、ザ・クラッシュも所謂国内の有名大御所パンクも未聴のままディスコックスのレコードに出会い、自身の暴動が勃発してパンクに身も心も投じたのだ!それほどにそのN.S.P.Mは衝撃的だった事を物語る逸話でもあり、同時にジ・エレクションズというパンクバンドの背景を読み取る事も出来る物語だ。2002年ベース・ボーカルのKENTAROを中心に広島で結成された。紆余曲折ありながらも結成から9年を経た2011年、自主製作(気合いを感じる!)でファースト7インチEP“STAND UP FUCKIN'PUNKS”をリリース(再発盤はアメリカのJOE POGO RECORDS)。国内外のポゴ・パンクス達に絶賛されたのは記憶に新しい。様々なライブに出演し知名度も人気も拡散していった。広島時代から続けている彼等の企画 ”NOISE FOR THE BOYS”も不定期ではあるが継続させている。ポゴ・パンクス達の期待を一身に受けながら勢いに乗りまくっているジ・エレクションズ。そんな彼等が遂にセカンド7インチEP ”Oi! Oi! REAL NOW”をメンバー全員、心の底から愛してやまない憧れのPOGO77 RECORDSから2014年1月11日にリリースする。決してぶれる事の無いスタンス。期待通りのサウンド。ベルギーのストリート・パンクの雄、FUNERAL DRESSの名曲 ”I’m in love with Oi!”のカバーを含む全4曲。80S/UKパンクが好きな人も、拘りなくパンクが好きな人も、「パンクって何だろう?聴いてみようかな・・・」なんて思っている人にも是非とも聴いて欲しい、大推薦出来る一枚!”NOTHIN‘ BUT POGO PUNK” さあ!ジ・エレクションズがポゴ・パンク旋風を巻き起こすぜ!ノリ遅れるな!

「とにかく派手に。絵にかいたようなパンクを伝えたかった」

K「ワシは最初、ライブを見る側でバンドをやりたいとも思ってなかった。パンクなんて聴いた事もなかった」
J「そうなんですか。パンクに最初に触れたキッカケは?」
K「たまたま幼馴染がスキンヘッドだった。コイツなんで頭坊主にしてピチピチの細いジーンズにブーツ履いてるのかなぁって思ってた。当時ワシはパンクやスキンヘッドなんて全然知らなかったから(笑)、モテなさそうなカッコしてるなぁって(笑)」
J「その幼馴染にパンクを教えてもらったんですか?」
K「そう。彼にミザリー(広島の老舗パンク・レコード・ショプ)に連れて行ってもらって・・・衝撃だった!張り巡らされたフライアに見た事もないCDやレコード、聴いた事もない音楽が店内に流れていて。彼は色々シーンの事とか知っていてライブにも行ったりしていたからレコードにも詳しくて、THE DISCOCKSの”LONG LIVE Oi!”を勧めてくれたんですよ。もう一発でやられましたね、表ジャケットのファッションもサウンドも全てが衝撃的で大好きになったんです」
J「それまで全然パンクは聴いていなかったのですか?」
K「全然。SEX PISTOLSもTHE CLASHも、日本のパンクも全然聴いた事が無かった。THE DISCOCKSでパンクに入ったんですよ。レコードの表ジャケットに映っていたHIROICHIさん(THE DISCOCKS/BASEMENTS/THE AVOIDED)とNAKACHIN(THE ERECTIONS/THE DISCOCKS)の写真がもうカッコ良すぎて。同時期に月刊バースト(1996年9月号vol.05)の鋲ジャン特集を毎日毎日穴が開く程見ていた。掲載されていた鋲ジャンに釘付け。ペイントされているバンドを紙に書いて片っ端からミザリーで探して買って聴きまくっていた」
J「当時、パンクの友達はいたの?」
K「全然居らんかった。ワシは広島の中でも結構田舎の方だったからミザリーに行くのも街に出る感覚だった。最初のパンクの友達と言えば・・・・思い出した!偶々、自分の地元、広島の片田舎にあるショッピングモールでパンクスを見かけたんですよ!話しかけようと思ったんじゃけど飯屋に入っていったから躊躇して・・・・・だってさすがに飯屋に入っていって「パンク好きなん?ワシもパンク好きなんよ!」って話しかけたらオカシイ奴でしょ!じゃけえワシは表で待っとたんよ、ずっとそいつが出てくるのを」
J「解ります。そういう感じの出来事自分も経験あります。ドキドキしますよね」
K「そう!で、飯屋の外で待ってたら、例のパンクスが出てきて、勇気を出して話しかけたんですよ。それがパーセビアのベースで、仲良くなって広島で活動するパンクバンドのライブに行くようになったんですよ」
J「ライブハウスに行くようになって自分もライブがやりたいって思うようになってきたのかな?」
K「う~ん。まだ見る側だったかな。少しずつ気持は変わっていった。色んなライブを見に行くようになったけどTHE DISCOCKSでパンクに入ったから、やっぱり自分の目指す理想もツボもTHE DISCOCKS以上はなかったから。ああいうタイプのバンドは地元にいなかったんよね。だんだん理想を追い求める気持が抑えきれなくなって爆発した感じかな・・・・。バンドやろうって」
J「地元の広島でメンバーはどうやって探したのですか?」
K「スーパー・ロック・マガジン・ドールのメンバー募集の欄で見つけたんですよ。広島でブリッツみたいなOi!をやりたいって書いてて。奇跡的ですよね。速攻連絡してバンド組みました」
J「バンドの名前は?」
K「最初からTHE ERECTIONS(ジ・エレクションズ)だった」
J「最初からベース・ボーカルだったのですか?」
K「いや、ワシ全然楽器が出来んかったから最初はボーカルだけ。楽器なんて弾いた事もなかったからやりたくても出来ないと決めつけていたね当時は。何も持たずボーカルとして3回ライブやった広島で」
J「他のメンバーはパンクが好きな人だったのですか?」
K「メロコアのバンドをやっていた町内の友達をベースで誘った。そいつはコックスペアラーやビジネスも好きだったから。そのメロコアバンドは地元では人気があって後に東京でデビューした。今はここの店長だけど」
J「!ここの店長?メダカの?」
K「うん。(笑)なんでか細かい事は知らんけど今ここの店長が昔のTHE ERECTIONSのベースなんですよ」
J「へええ。世界って狭いよね。けどやっぱりベースボーカルがやりたかったんじゃないですか?」
K「うん。本当はベース・ボーカルやりたかった。THE DISCOCKSがそうだったから、憧れが強いからワシもやってみたくてベース買ったんですよ。大橋君(THE DISCOCKS)の真似してサンダーバード。滅茶苦茶練習して4回目のライブからベース・ボーカルになりました」
J「東京進出はどのようなタイミングで?」
K「2007年~2008年ぐらいまでは広島にいたんですよ、自主でCD-R二枚出したりしながら。その頃ですね、ある日突然ギターの姿が消え連絡が取れなくなって家庭も仕事もなんか上手くいかなくなって。ドラムはヘルプだったし、気が付いたら独りぼっちになっていて・・・よく東京にライブ見に行ったりして遊びに行っていた。TOM AND BOOT BOYSが広島にツアーで来た時に帰りの車に潜り込んで今に至ります(笑)、逆にノリさん(TOM AND BOOT BOYS/POGO77)は広島に残っていました、東京に帰りたくないって(笑)」
J「色々あったんですね。そこから東京でバンド活動を始めたんですね」
K「東京にはちょくちょく来てたので友達も多かったし女にも世話になりました(笑)。直ぐにバンド活動って感じでもなかったですね。ワシ、その頃、韓国語を猛勉強してたんですよ。韓国に住みたくなって。韓国のパンクバンドと仲良くなってたから。しばらく韓国に渡って帰国後バンドやり始めた感じですね」
J「東京でメンバーはすぐに集まりましたか?」
K「東京に来て最初は00SQUADを脱退した伊藤ちゃんがギターを弾いていたんですけど彼が脱退して」
J「せっかく東京で動き出したのにメンバー脱退は正直苦しいですよね」
K「一緒にやりたいギターはNAKACHINで決まっていた。THE DISCOCKSでパンクにのめり込んだワシにとってNAKACHIN以上のギター・ヒーロはいなかった。ただどうやって誘おうかとか断られたらどうしようとか悩んでいました。誘いたいけど誘えないまま時間だけが過ぎていってた」
J「覚悟を決めて誘ったんですか?」
K「DIGRAPHIAのマキノさんがTHE ERECTIONSのギターはNAKACHINしかいない!って煽って説得してくれたんですよ、そこにワシもNAKACHINに一緒にやりたい思いをぶつけてNAKACHINが加入することになったんですよ」
J「ドラムのTAKA-44さんはどのような経緯でバンドに入ったのですか?」
K「2004年~2005年ぐらいに池袋を中心にポゴ・パンクが流行った時期があったんです。沢山のポゴ・パンクスが居て、沢山のバンドがありました。ワシが上京してきた時にはその池袋のシーンはなくなっていたんだけどTAKA-44はその生き残りです。いい奴だしパンクが大好きって愛情を感じられたからドラムを叩いてもらった。歌も歌えるし」
J「TAKA-44さんは今作で脱退してしまうんですよね。既に新ドラマーは決定していて本日同席していただいています!期待の(にくまれそうにない)ニュー・フェイスTAROが加入するという事で経緯を教えて下さい」
T「はじめまして!TAROです。THE ERECTIONSに入れてとてもエキサイティングだし興奮しています。だって自分の大好きなバンドに入れたんですよ。ウォール(初台のライブハウス)で誘っていただいて大好きなバンドだったのでほぼ即答です。嬉しいし楽しいですね今。後は頑張るだけです」
J「TAROさんはどのような音楽を聴いてこられたのですか?」
T「もともと親父の影響がデカイです。親父がめんたいロックに傾倒していたので幼いころから聴かされてきました。ルースターズが大好きになったのは間違いなく親父の影響。LAST CHILDとか」
J「LAST CHILD・・・・イイネ。興奮の度合いは伝わってきます。THE ERECTIONSの曲の中ではどれが好きですか?」
T「CRAZY Oi!とREAL NOWです!全曲好きですけど今この二曲が俺の中でキテます!」
J「いいですねその感じ!ズバリ!(死語だよね・・・)ライバルのバンドっていますか?勝手に思い込んでるのでもいいので、宣戦布告FOR YOURSELFでも!」
K「大好きだからこそTHE DISCOCKS。まだまだ全然越えられないから」
J「今回POGO77 RECORDSからのリリースです。感想は?」
K「POGO77しか考えてなかった。だってワシはレーベル買いしてたんですよPOGO77。思い入れも憧れも愛情も誰にも負けないぐらいありますから。比べるもんじゃないけど」
J「今回の4曲入りEPについて聞きたいのですがタイトルにもなっている”REAL NOW”。これはコブラにも同名の曲がありますよね。意識されてのことですか?」
K「広島時代に出来ていた曲です。タイトルはコブラ意識じゃないんです。これもTHE DISCOCKS意識で96年のVHS、ギグアンティック渋谷のライブでOi! Oi! REAL NOW!って大橋君が叫んでいたので、そこから拝借しました」
J「歌詞ってどんな感じなんですか?もしよかったら教えて下さい」
K「ライブで興奮して、最高だ!って感じている気持を歌っています。なんかライブの最高の瞬間と”REAL NOW”って言葉が合ってるかなと思って」
J「昂って昂って!最高!ってなった時ね。今しかないって、そんな感じなんでしょうね」
K「1曲目の”SO MUCH POGO”これはパンクが好きなんだ!って気持ちを歌っています。皆で思いっきりポゴって歌おうぜ!って。「夢中になれるって気持が、いつか君(自分も含めて)を素晴らしいパンクスにするんだって歌っているんです。曲はEJECTEDやUK SUBSを意識してつくりました。暗めだけど突き抜けた感じの曲を目指したんですが・・・・・・はい」
J「A・C・A・BはNAKACHINがソングライティングを手掛けてる曲ですよね。同曲名が4SKINSにもありますね。ALL COPS ARE BASTARDSってことですよね」
K「そうです。カバーの“I’M IN LOVE WITH Oi!”はTAKA-44が歌ってるんですよ」
J「聴きどころ盛りだくさんのEPに仕上がっていますね。ジャケットやアートワークで拘ったところは?」
K「とにかく派手に。絵にかいたようなパンクを伝えたかった」
J「最後にファンの皆にメッセージをお願いします」
K「思いっきり楽しんで聴いてね!ライブで思いっきりポゴりましょう!パンクが好きってだけで他に理由なんていらないんだから!Oi! Oi! REAL NOW!」

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